どうも、プリモンです。
突然ですが、「原始反射(げんしはんしゃ)」という言葉を耳にしたことはあるか。
今回は「生後0ヶ月~3ヶ月の赤ちゃんの本能」について掘り下げていく。
少しマニアックな内容にはなるが、子育てをする上で知っておいて損はない。
赤ちゃんが無意識に行う行動には、一つ一つ意味がある。
生まれてすぐ、はじめての環境(世界)に身を置かれるため、生きていくための本能が必然的に備わっている。
その本能が、「原始反射」と言われるもの。
この記事では、「原始反射」とは何かについてわかりやすく述べる。
- 原始反射とは何か知りたい人
- 赤ちゃんの生態をより詳しく知りたい人
- 子育てに熱心なママパパ
- 子供(赤ちゃん)の支援に携わる人
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原始反射とは
原始反射の概要
「無意識に特定の筋肉などが動く現象。知覚や姿勢などに与えられた刺激が、大脳の統制を受けずに脊髄や脳幹に伝わり起こる。随意運動が発達すると、だんだんと原始反射は消えていく。原始反射は乳児期早期にみられる反射」
とある。難しくて、ちんぷんかんぷん。
簡単に要約すると、
「胎児や新生児では、自分の意思によって身体を動かせるほど、脳(大脳)が発達していない。生きていくためには、脳幹と呼ばれる原始的(本能的)な部位で、身体を自動的に動かしながら、自然に成長発達するための力(反射)」。
概要は何となくわかればOK。
原始反射の種類(新生児:生後0ヶ月)
まずは、新生児(生後0ヶ月)から見られる反射を紹介。
新生児微笑
あやされなくても微笑む。
こんなことあまり言いたくないが、この時期に赤ちゃんが微笑んでくれることは、すべて(原始)反射。
赤ちゃんがずっと泣いていたり無表情では、ママパパのモチベーションはだだ下がり。
そこで赤ちゃんは、「このままでは、育児に影響してくるのでは……」と本能的に察知。
ママパパのモチベーションを維持するために、無意識に微笑む能力を身に着けたのではないかと勝手に思っている。
交叉性伸展反射
一側の下肢(脚)を曲げると、もう一方の下肢(脚)が伸びる反射。
屈筋逃避反射
下肢(脚)が伸びている状態で、足底部(足裏)を刺激すると、下肢が曲がる反射。
「交叉性伸展反射」と「屈筋逃避反射」については、生まれたばかりの手足は曲げる筋肉が優位となっている。
今後の成長のことを考えて、伸ばす筋肉も発達させるために起こる反射。
また「屈筋逃避反射」については、『危険回避の反応』とも捉えられる。
例えば、裸足で画鋲や釘等を踏みそうになった時、とっさに反射的に踏むギリギリのところで足をあげることができる。
これも「屈筋逃避反射」のおかげ。
もちろん、間に合わずに踏んでしまうこともあるが……。
自動歩行
新生児を垂直に保持し、足裏(足底)を地面につけ、身体を前方に倒すことで出現する反射。
要は、「不完全な二足歩行」を行う。
反射ではあるが、この時期から『歩く』という本能はすでに働いている。
口唇反射
新生児の口角周辺部位への軽い刺激で、刺激のあった方に顔を向ける。
吸てつ反射
口の中に乳房や指を入れると吸い始める。
「口唇反射」と「吸てつ反射」については、『食事』への本能的な反射。
生まれたばかりの赤ちゃんが、「お腹すいた〜ママのおっぱいからミルクもらお~」と思って、意識的に乳房から母乳をもらっているわけではない。
新生児と接する機会がある際、ぜひ小指等で軽く口角の周りを刺激してみよう。
刺激した方へ顔を向けて、小指が口に触れたら吸い始めるはず。
このことからも、意識的に行っている可能性は低いことがわかる。
ちなみに、上記で紹介した原始反射は、だいたい生後3ヶ月頃までには消失する。
生後3ヶ月を過ぎてくると、筋肉や知能が発達し、意識的に行えるようになってくる。
そのため、必要なくなった原始反射は消えていく。
次は、生後1ヶ月の赤ちゃんからよく見られる原始反射を紹介しよう。
原始反射の種類(生後1ヶ月~3ヶ月)
社会的微笑
先程、生後0ヶ月の赤ちゃんで紹介した「新生児微笑」。
新生児微笑とは、眠っている時などに無意識に微笑むような表情をすることを言う。
あやされて笑うことや自分から笑いかけるようになるのは、生後2ヶ月あたりからだ。
生後1ヶ月頃から混在して意識的に笑うこともある。
手掌把握反射
手掌(てのひら)を圧迫または軽くこすることで握り込む。だいたい生後4~6ヶ月あたりで消失。
足底把握反射
足底(足裏)を圧迫または軽くこすることで足の指が握り込む。だいたい生後12ヶ月前後で消失。
「手掌把握反射」と「足底把握反射」については、一緒にお風呂へ入って手足の指の間を洗おうとした際、握り込んでなかなか指を開いてくれない。
豆知識として、指の間はゴミ(アカ)が溜まりやすいため、しっかり洗ってあげよう。
赤ちゃんはよく手を口元にもっていくため、常に清潔を心がける。
もし、手指を強く握り込んでなかなか開かない場合、手首を手掌側へ曲げて、指を伸ばしてあげると指が開きやすくなる(力ずくで開かない)。
ぜひ、お試しあれ。
モロー反射
身体が斜めになり、頭部が急に後ろへ倒れる際、バンザイをするように手を上に挙げて指をひろげる反射。
そして、腹筋に一瞬力が入り、身体を上に持ち上げようとする。
だいたい生後5~6ヶ月あたりで消失。
抱っこして寝かしつける時、
「あ~やっと寝てくれた。ベッドで寝かせよう」と思い寝床に降ろす際、「ぎゃ~」と泣いて起きることがしょっちゅう。
この原因のひとつが、「モロー反射」と言われている。
抱っこから寝床に降ろす際、身体を傾け頭を後ろに反りやすいため、モロー反射が誘発される。
持論だが、寝ている時にモロー反射が起こると「ビクッ」となり、目が覚めやすいことがわかる。
大人の立場に置き換えると、爆睡中に急に大きな音で起こされた時と状況が似ているのではないか。
そのため、寝かしつける際はできるだけモロー反射を誘発させないようにする。
頭をしっかりと支え、身体を急に傾けないように、ゆっくりとお尻から降ろしてあげることがポイント。
ちなみに、モロー反射も必要な反射。
抱っこして危うく落ちそうになった際、赤ちゃんが本能的に腹筋に力を入れて一瞬踏ん張り、すぐに親がつかめるようにバンザイすると聞いたことがある。
信じる信じないはあなた次第。
頭に作用する体の立ち直り反応
うつぶせ(腹臥位)にさせると、頭を上へ上げようとする。
出生時~生後2ヶ月あたりから出現し、5歳くらいに消失。
うつぶせにした際、生まれたばかりの赤ちゃんが「窒息するから、頭を上げなきゃ」とは考えられない。
しかし、本能的に今の時期にうつぶせになれば、生命の危険が生じると脳は認識している。
視覚性頭の立ち直り反応
あおむけ(背臥位)から手もしくは肩を持って引き上げようとすると、頭も一緒に上がってくる(頭を真っ直ぐに保持しようとする)。
出生時~生後2ヶ月あたりから出現し、生涯継続。
生まれて間もない間は、頭がなかなかついてこない(首がすわってない)。
そのため、体を起こす際は、きちんと頭部を支えながら起こしてあげよう。
次は、育児の中では気づかれにくいが、実は原始反射だったというものを紹介。
その他の原始反射
緊張性迷路反射(TLR)
頭を真っすぐ(正中位)にした状態で、あおむけ(背臥位)になると、曲がっていた手足(丸まっていた姿勢)が伸びてくる。
もしくは、うつぶせ(腹臥位)にすると、伸びていた手足が曲がってくる。
大人はあおむけで横になったら、リラックスして手足の筋肉が緩み伸びてくる。
しかし、赤ちゃんのあおむけの場合は逆で、実はリラックスしているのではなく、むしろ手足が伸びる方向に働く筋肉が緊張して(力が入って)伸びてくる。
うつぶせの場合は、あおむけの場合と逆で、手足が曲がる方向に働く筋肉が緊張して(力が入って)曲がってくる。
赤ちゃんが寝ている時、脳もお休み中。
寝ている間は、基本筋肉に指令が走ることはないので、この時はリラックスして手足が伸びている。
紛らわしいが、実は何気ないところでも原始反射は起きている。
この反射は生後6ヶ月あたりで消失。
非対称性緊張性頸反射(ATNR)
自発的もしくは他動的に頭(顔)を左右どちらかへ向けさせると、向いた側の手足が伸び、反対側の手足は曲がる。
イメージ的には、フェンシングで相手を突いた時のような姿勢。
赤ちゃんと接する機会がある際は、ぜひじっくりと観察してみよう。
すべての動作でこの反射が出るわけではないが、度々見られる。
一見すると、赤ちゃんが顔を向けた側へ意識的に手を伸ばしているように見えるが、実はこの手を伸ばす動作も反射。
意識的に手を伸ばせるようになるのは、脳がある程度発達してきてから。
この反射は、生後4~6ヶ月あたりで消失。
おわりに
上記で紹介した原始反射は、脳(大脳)が発達するにつれて抑えられてくる。
脳が発達するとは、意識的に物事を考え、行動に移せるようになること。
生後1ヶ月以降では、意識的に物や人を注目したり、追いかけたりできるようになる。
意識的に目を動かせるということは、脳が発達してきた証拠。
そのため、生後3ヶ月あたりから徐々に原始反射が抑えられてくる。
だいたいの原始反射は、1歳(生後12ヶ月)あたりで消失。
中には、5歳までや生涯続くものもある。
他にも紹介しきれていない原始反射はたくさんある。
まずは、身近で見られる原始反射さえ押さえておけば十分。
参考になれば幸い。
ばいびー